青山美智子さんは、実に素晴らしい読書体験を提供してくれる作家さんだ。僕は、彼女の出している本は読んだと思う。(読んでなければ買っておいてあるはず)年始は、彼女の本でスタートしようと決めていたので、思い通りになって嬉しいです。
内容は、以下の通りです。
ある3月の週末、SNS上で「#人魚が逃げた」という言葉がトレンド入りした。どうやら「王子」と名乗る謎の青年が銀座の街をさまよい歩き、「僕の人魚が、いなくなってしまって……逃げたんだ。この場所に」と語っているらしい。彼の不可解な言動に、人々はだんだん興味を持ち始め――。
そしてその「人魚騒動」の裏では、5人の男女が「人生の節目」を迎えていた。12歳年上の女性と交際中の元タレントの会社員、娘と買い物中の主婦、絵の蒐集にのめり込みすぎるあまり妻に離婚されたコレクター、文学賞の選考結果を待つ作家、高級クラブでママとして働くホステス。
銀座を訪れた5人を待ち受ける意外な運命とは。
そして「王子」は人魚と再会できるのか。
そもそも人魚はいるのか、いないのか……。
最終章のまとめ方がすごくいいですし、見えなかったキャラクターと一緒にいろんな世界が見えてくるようで楽しめました。こういう小説は、フィクションだけれども心が暖かくなるようで良いですね。今年も青山美智子さんには要注目です。