デビュー作の『不夜城(ふやじょう)』の発表以来、長く応援してきた馳星周さんが、ついに直木賞を受賞されました。この賞、欲しかったでしょうね。本当におめでとうございます。今日は速攻でこの本を読みましたので、いろいろ思うところを書いておきます。
直木賞って、なんなんだ?
直木賞は、正確には直木三十五賞(なおきさんじゅうごしょう)のことです。無名・新人及び中堅作家による(ただし、現在は下記のとおり、このカテゴライズは実質上、無効化している)大衆小説作品に与えられる文学賞であります。通称は直木賞です。
かつては芥川賞と同じく無名・新人作家に対する賞であったのですが、1970年代あたりから中堅作家中心に移行、近年では長老クラスの大ベテランが受賞することも多々あります。馳星周さんは、54歳で数多くの作品を排出されているので長老クラスに当たりますね。
もっとも、直木賞は設定当初ですら新人のための賞であったとは言い難い面があります。第1回受賞の川口松太郎や第3回受賞の海音寺潮五郎からして既に新人とは言うには無理がありました。その他にも、候補者・受賞者の中には新人とは言い難い人物が少なくない)
※この文章はウィキペディアに書かれた記述を参考にしています。
馳星周さんは何回チャレンジしたの?
馳星周さんはこの直木賞に7回ノミネートされました。6回の落選を受けて、やっと受賞したという感じです。そうです、馳星周さんは努力の人なのであります。
第116回候補 『不夜城』
第120回候補 『夜光虫』
第122回候補 『M』
第130回候補 『生誕祭』(上)(下)
第138回候補 『約束の地で』
第153回候補 『アンタッチャブル』
第163回受賞 『少年と犬』
デビュー作の『不夜城』がテンポのよいストーリー展開で度肝を抜かれました。すごい新人が出てきたなぁと今後の作品は全部読もうと決めました。この年の『このミステリーがすごい!』でも、堂々の1位にランクインしていたことを覚えています。
『夜光虫』『漂流街』がノアール小説のしての頂点にいるのではないかと思っています。その中でも『夜光虫』は後味さわやか(?)な部類に入ると思いますので、これは読む価値あるはずです。せっかくですので『少年と犬』のお供にどうぞ。
浅田次郎さんも「何度もチャレンジしていれば、いつかもらえる賞」と言い切っていましたが、みんながみんなチャレンジできるわけではないので、そこは才能に支えられているんでしょうね。羨ましい限りです。
はっきりいうと物足りないです
【第163回直木三十五賞受賞作】
家族のために犯罪に手を染めた男。拾った犬は男の守り神になった―男と犬。仲間割れを起こした窃盗団の男は、守り神の犬を連れて故国を目指す―泥棒と犬。壊れかけた夫婦は、その犬をそれぞれ別の名前で呼んでいた―夫婦と犬。体を売って男に貢ぐ女。どん底の人生で女に温もりを与えたのは犬だった―娼婦と犬。老猟師の死期を知っていたかのように、その犬はやってきた―老人と犬。震災のショックで心を閉ざした少年は、その犬を見て微笑んだ―少年と犬。犬を愛する人に贈る感涙作。
確かに面白いし、読み応えがあるし、ストーリーもしっかりしている。そこは間違いないです。うちの娘が読んでも「面白かった」と答えるでしょう。でも、昔から馳星周さんを知っている僕らファンからすると、あまりに物足りない小説でした。
期待値が高いからね。でも、これだけは言いたいです。
馳星周さん、直木賞受賞おめでとうございます。
馳星周さんの愛犬ブログは、こちら
大学時代の友達がこのブログを教えてくれました。コンブ、いつもありがとう。
最後まで読んでくださいまして、ありがとうございます。読者の方に感謝です。