僕は、「三浦しをん」さんの大ファンです。鬱々とした日常になんだか仄かな明かりを灯してくれるような文体と構成で僕を和ませてくれるからです。こういう引き込まれるような文章を書く作家さんは、なかなかいないですよね。
すべての人が「三浦しをん」ファンだというわけではないので、無理にはオススメしませんが、久々の(3年ぶりくらい?)小説が仕上がったそうなので、僕の読書ブログで押します。間違いはないですので、是非読んでくださいね。
三浦しをん著『ののはな通信』内容紹介
最高に甘美で残酷な女子大河小説の最高峰。三浦しをん、小説最新作。
横浜で、ミッション系のお嬢様学校に通う、野々原茜(のの)と牧田はな。
庶民的な家庭で育ち、頭脳明晰、クールで毒舌なののと、
外交官の家に生まれ、天真爛漫で甘え上手のはな。
二人はなぜか気が合い、かけがえのない親友同士となる。
しかし、ののには秘密があった。いつしかはなに抱いた、友情以上の気持ち。
それを強烈に自覚し、ののは玉砕覚悟ではなに告白する。
不器用にはじまった、密やかな恋。
けれどある裏切りによって、少女たちの楽園は、音を立てて崩れはじめ……。
運命の恋を経て、少女たちは大人になる。
女子の生き方を描いた傑作小説。
『ののはな通信』週刊文春の書評です
ふたりの女性の友情が、いずれ恋に変化するとき
友だちという言葉は、ちょっとした知り合いから公私ともに親密な人まで、適用範囲が広い。ずっと疎遠でも、よほど険悪でないかぎり、友だちと呼ぶことはできる。そんなつかみどころのないつながりが、『ののはな通信』では、唯一無二の関係になる。本書はふたりの女性の二十七年にわたる交流を書簡形式で綴る長編小説だ。
グリコ・森永事件が発生した一九八四年に、野々原茜(のの)と牧田はな(はな)は、横浜にあるミッション系の女子校で出会う。庶民的な家で育ち勉強が得意なののと、外交官一家のお嬢さまで天真爛漫なはな。対照的なふたりは当時連載が完結したばかりの山岸凉子の漫画『日出処の天子』の話で意気投合する。超能力を持つ美貌の王子と豪族の息子の数奇な運命を描いた名作だ。はなはのの宛の最初の手紙に〈あのすごさは、私たちのあいだだけでの秘密〉と書く。
誰かと仲良くなったら、秘密を共有したくなるものなのだろう。漫画の感想、家庭の内情、教師と生徒のゴシップ。面と向かってはあまり話せないことを、ののとはなは手紙で語り合う。やがて友情は恋に変化する。しかし、ある裏切りによって、ふたりは離れ離れになってしまう。
初めて身体に触れた日、ののは手紙で〈友だちの形や要素を濃厚にとどめつつ、私たちは新しい姿の生き物に生まれ変わったのよ〉と宣言する。羽化した蝶が芋虫に戻らないように、恋情が失われても元の友だちには戻れない。ただ、幸せだった日々の記憶は永遠に残る。その記憶と共に、いかにして生きていくか。四十代になって、メールのやりとりを始めたののとはなが、お互いの近況を報告しつつ、昔とは異なる形で、愛と理解を深めていくところがいい。著者が『秘密の花園』や『まほろ駅前多田便利軒』シリーズなどで対峙してきた暴力の問題も掘り下げながら、より光のある世界へ、登場人物と読者を解き放つ。
評者:石井 千湖
(週刊文春 2018年06月21日号掲載)
僕が好きな「三浦しをん」さんの小説ベスト5
第1位、まほろ駅前多田便利軒シリーズ
第2位、舟を編む
第3位、風が強く吹いている
第4位、神去なあなあ日常
第5位、光
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます。感謝です。繰り返し言いますが、「三浦しをん」オススメです。疲れた時や誰とも口をききたくない時に部屋にこもって読むと良いと思います。