梁石日の『血と骨』は、壮絶な物語であった。僕たちを有無を言わさず黙らせてしまうほどの筆力と血と汗の匂いがするストーリーに若かりし日の僕たちは唖然とした。映画化もされたが、文字から受けた衝撃を大事にしたかったので観に行かなかった。
この本の表紙を見たときに、タイトルを見たときにプンと血の匂いがした。あのときに読んだ『血と骨』みたいな空気を感じたのだ。口の中で血の味がした。こういう印象は大事にしなくてはいけないので、そこを押さえながら読み進めた。
鮮烈なラストシーンは読む前からなんとなく感じられるほど高圧的な本なのだ。「読んでおくべき熱い本」だと思いますので、お勧めします。グロテスクな描写もあるので、そういうの苦手な人はやめたほうがいいかな。
でも、注目の新進気鋭の作家さんには間違いないのでチェックしておきましょう!
『血と肉』内容紹介。
不倫相手との子どもをひとりで産むと決意し、古ぼけた海辺のラブホテル「コート・ダジュール」に住み込みで働くことになった光海。オーナーの老婆・頼子さんは上品で優しいが、ある日、ホテルの一室で行っているという怪しげなミサに光海を誘う。子どもの父親の家庭をぶち壊したと告白した光海だが、いっぽう頼子さんも過去に大きな「罪」を犯していた…。女であることの生々しい痛みと、連綿と続く命の連鎖を直視する問題作。
そこは、家でも外でもないところ。“最高の場所を見つけました”高校生が描く、静かな癒しの物語。第43回文藝賞受賞作。2006年に彼女が出したもう一冊の本もお勧めしておきます。
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