『アンドロイドは人間になれるか』こういう問いに答えるためには、そもそも「人間とは?」問いかけに対する答えを用意しなくてはならないだろう。だから人間になれるのだという答えが曖昧になってしまうからだ。
基本、生物としてどうかという問題に対しては福岡伸一先生が定義付けた「自己複製すること」という言葉が一番ふさわしい。アンドロイドは自己複製できないと断言できないので、ここはクリアしたものとする。
次は、周囲の人間がそのものを「人間」と認めるかどうかにかかっているのかもしれない。そういう面では我々は寛容だ。人間の格好をして、コミュニケーションが取れ、交流ができれば十分なのではないかと思う。そのくらい簡単な基準だろう。
今回は、楽しみにしていたこの本でじっくり「人間」を考察してみたい!
『アンドロイドは人間になれるか』内容紹介。
天才ロボット工学者・石黒浩とアンドロイドが、あなたの「常識」を覆す!
TVで人気のマツコ・デラックスさんそっくりのアンドロイド、マツコロイド。リアルさを追求するために毛穴を20万個持つマツコロイド──その生みの親が「世界を変える8人の天才」に選出されたこともある世界的ロボット工学者、石黒浩・大阪大学特別教授である。
美人すぎるアンドロイド・エリカ、不気味な外見なのになぜか人を虜にするテレノイド、人間国宝の故・桂米朝さんの名人芸を永久保存した米朝アンドロイド、自分そっくりのアンドロイド・通称イシグロイド……
世間の度肝を抜く斬新な発想で注目を集めてきた鬼才・石黒は、子どもの頃、「人の気持ち」がわからない子どもだったという。
大人になった今でもその正体がわからず、「人の気持ち」の謎を知りたいという思いから人工知能の研究、そしてアンドロイド開発・研究へと足を踏み入れた──。
アンドロイドが教えてくれる「人の気持ち」や「人間らしさ」の正体とは? 今まで常識と信じて疑わなかったことが次々と覆されていく様は鳥肌が立つほど面白く、またちょっと不気味でもある。
アンドロイドやロボットは、近い将来、必ずあなたの隣人となる。手塚治虫やSFが描いた未来はすぐそこまで来ている。最先端の場所に常に身を置く石黒浩の見ている未来をお見せしようではないか。
人間存在の本質に迫る興奮の知的アドベンチャー。これはもはや哲学だ!
簡単にできる家庭での考察。
子供が小さい時にヘリウムガスで膨らませて部屋の中を漂わせる魚型の風船を買った。子供達は、名前をつけたり、話しかけたり、ガスの量を確認しながら世話をした。僕もいつの間にか感情移入して、「どいて!」と話しかけたりしていた。
知らない間にいなくなってしまったが、あの魚には僕たちが「感情」を植え付けて成長させていたように思う。もちろん「自己複製」はしないがコミュニケーションが取れるというハードルは十分クリアしていたと思う。
『アンドロイドは人間になれるか』という答えは、我々の心の中にあると思う。僕自身、いつかアンドロイドの嫁さんと暮らす日が来るのではないかと考えている。ただ相槌を打って、時折罵ってくれたらそれで良いような気がするからである。
「考える」ことについてのアプローチはどうするか?
パスカルが言った「人間は考える葦である」という言葉が重く響く。アンドロイドは僕たちが期待する「考える」という行為ができるのだろうか?この問題は、準備さえできていれば良いのではないだろうか?
では、準備とは何か。将棋の電脳戦が良い例かもしれない。最近では相手の盲点を突かないと人間はコンピュータに勝てないようになってきている。そのことから考えると、人間の要求事項に合わせて準備すれば良いのである。
そしてその人間の要求は有限であることがわかりきっているので・・・もっと言えば有限の中から選択する本能が備わっているのが明白なので心配することはないだろう。結論を言えば、アンドロイドは人間になれるのだ!
合わせて読みたい「石黒浩さん」の本を紹介します。
どうすれば「人」を創れるか: アンドロイドになった私 (新潮文庫)
- 作者: 石黒浩
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2014/10/28
- メディア: 文庫
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