本書が、身近なところから正義について考える入口になればと思う。戦後社会の日本人は、ずっと長い間、正義のジレンマから離れ、ゆるい中間色の「安定」の中で思考停止してきたような気がしてならないのである。
まさにこの本を読む意味がここに凝縮されていると思います。とっても刺激的な読書体験をさせてくれる本です。「正義」というやっかいなテーマについて気鋭の2人が長時間討議した内容をまとめたものです。とっても示唆に富んでます。
『正義について考えよう』内容紹介。
誰もが「必敗」すると考えていた戦争に、なぜ日本は突き進んだのかーー。
32年前、珠玉のルポルタージュ『昭和16年夏の敗戦』(中公文庫)で猪瀬直樹が提示したこの問いかけは、新国立競技場をはじめとした東京五輪問題、安全保障関連法成立までの反対運動、沖縄と福島が抱える宿痾、そして、ここにきて加速してきた改憲論議……など、いま日本人が直面しているすべての問題に繋がっている。
戦後、アメリカという「門番」にカネと基地を差し出すことで命を肩代わりしてもらった日本は、経済最優先のもと「ディズニーランド化」し、語るべき正義を見失ってしまったのか?
同調圧力に屈しやすく、リーダー不在のため、自ら意思決定することすらできない。そして、「不決断」という選択を取り続けたことで、誰も責任を取らない国になってしまった……日本人が陥ってしまった「正義のジレンマ」とは何か?
憲法改正、沖縄、天皇、新国立競技場問題、大東亜戦争肯定論、イスラム国、右傾化、ゲンロンカフェ、安全保障関連法、ディズニーランド化、「マンション墓地」、SEALs、関東軍、ニューカップル、福島、歴史修正主義、メディアのタブー、文学部不要論、三島由紀夫、ダークツーリズム、集団的自衛権、東京裁判史観、ネトウヨ、『朝まで生テレビ』、団塊世代と団塊ジュニア、石原慎太郎、一神教と多神教、日米安保条約、2020年東京五輪――。
重厚なルポルタージュで、「戦後空間」のなかに潜む日本国という国家そのもののルーツを問い続け、のちに東京都知事として行政機構のなかに自ら斬り込んだこともあった作家・猪瀬直樹氏と、アカデミズムの枠組みを超えたフィールドワークを駆使し、日本の言論空間につねに新風を吹き込んできた俊英の思想家・東浩紀氏との間で交わされた「正義」を巡る日本人論
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